皆さんこんにちは!理学療法士の高橋です。

先日の大雪は皆さま平気でしたでしょうか?私は出先にいたもので・・・本当に家に帰れないんじゃないかという恐怖と戦っておりました^^;

さて、『五十肩』という言葉は誰でも聞いた事があると思いますが、五十肩ってどういう状態?と聞かれると言葉に詰まる方がほとんどではないでしょうか。

日本語では五十肩と一般的に言いますが、診断名としては『肩関節周囲炎』となります。

英語圏ではFrozen Shoulder(凍結肩)、Adhesive capsulitis(癒着性関節包炎)が代表的でしょうか。

五十肩を表す用語は多く存在しますが、ここでは五十肩で統一したいと思います。

五十肩の病因におきましては百年以上前から論争が繰り広げられております。



肩峰下滑液包の炎症から起因する説、腱板損傷から起因する説、インピンジメント症候群から起因する説など様々であり未だに明確な原因は分かっておりません。ただ一つ言えることはどの説も間違いではないという事です。可能性としてどの説でも五十肩が生じる要因はありますが、それを全ての患者さんに当てはめることは間違いかなと私は考えます。

患者さんそれぞれ症状は違いますし、痛みの原因や可動域が悪くなっている理由は異なります。そのため、『五十肩の原因はこれだ!』という考え方そのものが悪いような気がしますが・・・数々の著名人が唱えた説ですからあまり言わないほうが良いですね。。。笑

では、なぜ急に痛みが発生するのか?患者さんのほとんどが口を揃えて言う事が何もしていないのに急に腕が痛みだした、腕が挙がらなくなったということです。転倒やスポーツ中など明らかな要因があれば患者さんも『あれがいけなかったのか』と思いますが、何せ自覚症状が全くなくある日突然症状が現れるわけですからね・・・

しかし、実は自覚症状として出現するのは急かもしれませんが、内部では痛みが出ないレベルの損傷と修復を繰り返しているのです。本来組織が損傷すれば炎症反応を起こしますが、炎症初期では痛みを自覚しないことがほとんどで、炎症が進行すると痛みが自覚症状として出現します。

例えば家事をやってて腕を捻ったりすることってたまにありますよね。一瞬痛いかもしれませんが、痛みの持続時間としては数秒~数分でしょう。この一瞬の痛みはいわゆる一次痛というものです。

一次痛と二次痛に関してはこちらから

その後の炎症反応が起こらなければ侵害受容器を刺激する化学物質も産生されないため二次痛は起こりません。ですが一回の損傷では痛みは起きなくとも、何回も繰り返されることにより組織にダメージが蓄積しある日突然炎症(疼痛)が発生するのではないかと考えます。

大まかな流れとして、繰り返しの微小損傷→関節を包む関節包の損傷と修復→突発的な炎症(+)疼痛増大といった感じでしょうか。また、損傷した組織は修復されますが、元通りの組織になるわけではなく、線維化といって組織の伸張性が低下した状態になり関節可動域が制限されます。

損傷は繰り返していても痛みの自覚は炎症がかなり進んだ状態のため病院に行くタイミングはかなり悪化した状態で受診するケースが非常に多いと思いますが、この痛みを自覚した段階からできるだけ早めに受診することが望ましいです。なぜなら、①代償動作で日常生活を送ることで他の関節にも影響を及ぼす可能性が高い②病院で正しいポジショニングを習う必要がある③やっていい動作orダメな動作の指導をすべきだからです。

夜間の痛みがひどい方は炎症がかなり強い状態のため、寝るときのポジショニングを正しく取る必要があります。また悪化している状態で無理な動作を行えば更に患部を悪化させる要因になります。自己流や友達の話を聞いて放置するのは非常に危険なためやめましょう。

今日は五十肩についてお話しました。明確な原因は分かっていないため私の個人的な考え等が多くなってしまいましたが、最後まで読んでくれた方感謝です。

日進月歩

山田整形外科