皆さんこんにちは!理学療法士の高橋です。

少し前まで寒かったと思えば、あっという間に夏のような日になってきましたね。所によっては真夏日もありますし、熱中症にはくれぐれも気をつけてください。

本日は『良い歩行』について説明していきたいと思います。

唐突に良い歩行と言っても正直ピンと来ない方が多いと思われます。悪い歩行は何となく見てわかるかなと思いますが、良い歩行が何を基準に良いと判断しているのか曖昧ですよね。

参考書により様々な記載があるとは思いますが、以下にいくつか羅列していきます。

  • スムーズに歩けている
  • 左右差がない
  • 体重が前に乗っている
  • エネルギーロスが少ない
  • ブレない歩行
といった感じですが、どれも抽象的です。そもそも明確に良い歩行は定義されていません。本には歩行周期で関節がどの位動くか記載されていますが、あくまで平均値なので元々身体が硬い人もいるでしょうし関節角度が足りてないから異常というわけではありません。

正常歩行というくくりで考えれば、正常歩行という大枠があり、その中に個々人の歩行スタイルが含まれるといった形です。ただ、良い歩行と言われますと健常人でも良くない歩行をしている方も多くいるため、厳密に言うと『良い歩行』『正常歩行』は異なると考えています。

私が考える正常歩行の定義は

①症状がない

②左右差がない

③速度を調整できる

④歩幅が短くない

まず①の症状がない②の左右差がないというのは何となく正常ならば当然だよねといった感じだと思います。痛み等があれば正常ではないですし、痛みがなくても左右で明らかな違いがあればそれも異常ですよね。

そして速度が調整できるということも非常に重要です。歩行速度は歩幅と歩数/分で決定しますが、基本的には歩幅が減少すると歩行速度も減少すると思ってください。健常人であれば遅く歩くことも速く歩くことも可能ですが、パーキンソン病では突進現象のような歩幅が減少して歩数が増えて歩行速度が上昇するということもあります。しかし、基本的に歩数/分の変化は神経的な要因であるため整形領域ではありえないので基本的には無視して良いです。

正常歩行の明確な基準というものはありませんし、具体的に数値化できません。臨床で患者さんの歩行を修正するといった場合に大元は上記を意識して取り組んでおります。インソール等になるともっと細かいレベルの分析になりますが、①痛みがない②左右差がない③歩幅が拡大していれば患者さんの歩行は改善していると判断して良いでしょう。この3つのどれか一つでも当てはまらなければ患者さんの状態は良くなっているとは言い切れません。

例えば、痛みは減ったけど歩幅が減少した状態であれば、パフォーマンスを落としているわけですからそれは改善とは言えません。よく『痛くて運動ができないんです』と病院に行く方多いと思います。医者からは『ではしばらく運動お休みしましょう』と言われるわけです。確かに安静にすれば痛みは落ち着きますが、それって改善したって言えますか?ってことです。安静にして痛みが減ってもまた運動したら痛みは出現します。

そう考えると良い歩行や良いフォームってものは存在するのかもしれません。ですが、人には個体差がありますから必ずしも一つを当てはめれば全員がうまくいくわけではないので、個々の能力に合ったものを選択していくと良いでしょう。

本日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

日進月歩

山田整形外科